レッスン

MTG:奥深い戦闘 テキスト

こんにちは!このモジュールにようこそ。一緒に戦闘の複雑さについて掘り下げていきましょう。

戦闘は格闘のことではありません。しかしまず私たちが「戦闘」という言葉を使う際には、それが何について話しているのかを明確にしておきましょう。戦闘について言及する場合には、常に私たちはターンの中の特殊なフェイズの間に起こっていることについて話しています。格闘と呼ばれる特定のメカニズムが存在し、それは2つのクリーチャーが互いに自身のパワー分のダメージを与えあうことで、これは私たちが戦闘と思いがちなものですが、これはマジックでは先制攻撃や二段攻撃のような特定の能力のことです。格闘でなく戦闘に関連した能力については後ほど説明します。これだけ分かっていたら先に進みましょう。
戦闘の構造-戦闘フェイズは、戦闘開始ステップ、攻撃クリーチャー指定ステップ、ブロック・クリーチャー指定ステップ、戦闘・ダメージステップ、戦闘終了ステップの5つのステップに分けられます。各ステップは戦闘で発生する異なる部分を表し、そのステップにのみ行える特殊な行動からなります。行動のいくつかはステップの厳密な開始時から発生し、プレイヤーがそれに対応することはできません。それらは「ターンベースの行動」と呼ばれ、スタックを使わず、プレイヤーがそのステップに入ったら対戦相手がその行動により起こることを阻止することはできません。

戦闘開始ステップ

戦闘の開始、です。戦闘フェイズの開始です。アクティブ・プレイヤーが攻撃プレイヤーとなり、非アクティブ・プレイヤーが防御プレイヤーとなります。この時点でプレイヤーは、そのターンの土地のプレイを行ったり、ソーサリーを唱えられるときに唱えられる呪文(瞬速を持っていないクリーチャー呪文を含みます)を、戦闘フェイズが終了するまでできなくなります。
このステップの開始時に最初に発生するのは誘発型能力であり「戦闘の開始時に」と書いてあるすべての能力-《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》や《弧光のフェニックス/Arclight Phoenix》が有名です-が誘発します。ここまで来てからこれらの誘発を止める手段は存在しません。ただしプレイヤーの双方がコミュニケートを取ることで、その影響に対処することは可能ですが、ここではそれ以上は立ち入りません。
誘発型能力がスタックに乗った後で、クリーチャー化する土地やある種のデーモンを攻撃クリーチャーに指定する前に行う優先権を得ます。これが攻撃プレイヤーがそれらで攻撃を行いたいときにそうすべきタイミングです。《天界の列柱/Celestial Colonnade》や《総動員地区/Mobilized District》などが戦場にあるときに、攻撃プレイヤーがこのターンにそれをクリーチャー化して攻撃したいならば最後の機会です。スタックが空のときに防御プレイヤーが優先権をパスしたら次のステップに移行するからです。

攻撃クリーチャー指定ステップ

攻撃クリーチャーを選択します。ターンベースの行動について述べたことを覚えているでしょうか? これはそれを確認する良い機会です。すなわち攻撃クリーチャー指定ステップに入ったら、最初に行うことは攻撃プレイヤーがどのクリーチャーが攻撃に参加するかを宣言することであり、防御プレイヤーがプレインズウォーカーをコントロールしていたらどれがどちらを攻撃するのかを選ぶことです。選んだら、攻撃プレイヤーが選んだすべてのクリーチャーが「攻撃クリーチャー」になります。
次は税金を支払ってください、と言われても慌てずに! 何かをしないと攻撃できない(制限される)クリーチャーや、可能であれば攻撃しなければならない(要求される)クリーチャーがいます。そのため攻撃プレイヤーはまずこの制限と要求がどのクリーチャーに及んでいるかを確認すべきですが、その確認自体が頭痛の種になることもあります。このチェックを実行する非常に簡単な方法は、次に述べる3つのルールを作成することです。

ルール1:クリーチャーが攻撃するためにコストの支払いが求められる場合には、あなたはそれを強制されることはありません。あなたがコストを支払うことを決めた場合に限り、他の影響を考慮する必要が出てきます。
ルール2:ルール1で除外される場合を除いて、すべての制限に従う必要があります。制限に従えない場合、その攻撃クリーチャー指定は適正ではないので最初からやり直す必要があります。
ルール3:ルール1とルール2に競合しない限り、可能な限り多くの要求に従う必要があります。すべての制限に従ったうえで攻撃クリーチャーを指定してもまだ守れる要求が残っているのであれば、最初からやり直しです。まだ混乱してますよね?では簡単モードと難しいモードで例を見ていきましょう。

簡単モード:あなたは《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》2体と、それにより戦闘開始ステップで生成された2体のゴブリンをコントロールしています。対戦相手は《プロパガンダ/Propaganda》をコントロールしています。元来は《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》の能力により4体すべてが攻撃に行かなければなりませんが、対戦相手の《プロパガンダ/Propaganda》は攻撃する際にコストの支払いを求める制限を生成します。あなたはコストを支払う義務はないので、たとえすべてが攻撃しなければならなくても攻撃クリーチャーを0体で指定することができます。

難しいモード:OKもう少し難しくしよう。あなたは《はた迷惑なゴブリン/Hellraiser Goblin》(あなたのすべてのクリーチャーに速攻を与え、可能ならば攻撃しなければならないという能力を与える2/2クリーチャー)と、《モグの下働き/Mogg Flunkies》(単体では攻撃もブロックもできない3/3)と《残虐の達人/Master of Cruelties》(単体でなければ攻撃できない1/4)をコントロールしています。さてこの場合、あなたの考える適正な攻撃クリーチャー指定はどうなりますか?ゆっくり考えてください。

そろそろいいですか?

先の3つのルールを覚えていますね?よろしい。これを正しく行うためには、制限と要求の数を数えることから始めねばなりません。この場合には制限は2つ(単体でしか攻撃できない《残虐の達人/Master of Cruelties》と単体では攻撃できない《モグの下働き/Mogg Flunkies》)あり要求は3つあります(3体が可能ならば攻撃するを持ちます。ありがとう《はた迷惑なゴブリン/Hellraiser Goblin》)。攻撃が適正であるためには、制限に違反しない範囲で可能な限り多くの要求を満たす必要があります。《残虐の達人/Master of Cruelties》が単体で攻撃する場合、それは単体で攻撃しており制限に違反しませんが、満たすことのできる要求の最大数ではありませんので適正ではありません。一方、《はた迷惑なゴブリン/Hellraiser Goblin》と《モグの下働き/Mogg Flunkies》の2体で攻撃する場合、それは(可能ならば攻撃するという要求3つのうちの)2つを満たし、すべての制限を逸脱しません(《モグの下働き/Mogg Flunkies》は単体では攻撃できませんが)。これは制限を逸脱せずに満たすことのできる要求の最大数であるため、これが可能な適正な攻撃です。

明確になりましたか?素晴らしい!これで私たちの提案された攻撃が適正であり、攻撃に参加したクリーチャーは(警戒を持たない限り)タップし、それらが「攻撃クリーチャー」になりました。良い戦いをする準備ができました!

能力の時間です!いや待って、またもう少しだけあります。クリーチャー1体が攻撃したときに誘発する誘発型能力がスタックに乗ります。《雷族の呼び覚まし/Thunderkin Awakener》の能力のような、このときの誘発型の解決によって「攻撃している状態で戦場に出た」クリーチャーについては「そのクリーチャーが攻撃したとき」の誘発型能力は誘発しないことは注意してください。この種の能力はクリーチャーがこのステップの開始時に攻撃クリーチャーとして指定された場合にのみ誘発します。さて、すべての能力がスタックに積まれたら対戦相手がブロック・クリーチャーを指定する前に動くべき最良の時です。誘発型能力がスタックに積まれたら、プレイヤーはインスタント呪文を唱えたり起動型能力を起動する優先権を得ます。あなたがブロックされたくないクリーチャーを排除したいならば、いま動かないと手遅れになります。

ブロック・クリーチャー指定ステップ

ブロック・クリーチャーを選びます。新たな挑戦者の登場です! 新たなステップが始まり、新たなターンベースの行動に入ります。防御プレイヤーがどのクリーチャーをブロック・クリーチャーとして指定するかを選びます。そのクリーチャーはアンタップ状態でなければならず、他の能力によらない限り、1回の戦闘で1体のクリーチャーは1体のクリーチャーをしかブロックできないことは重要です。
攻撃クリーチャーを指定したときのように税金をさらに払う必要がありますか?制限や要求はありますか?ええ、それらは戻ってきました!プレイヤーがブロック・クリーチャーを指定する際には、攻撃クリーチャーを指定したときと同じ3つのルールを守り、今度はそれを適正なブロック・クリーチャーを指定するために使用します。要約すると、次の3つになります。
1番。あなたはブロック・クリーチャーを指定する際にコストの支払いを強制されることはありません。
2番。あなたはすべての制限を守らなければなりません。
3番。あなたは制限を逸脱しない範囲で、できるだけ多くの要求を満たす必要があります。

ブロックが適正であった場合には、クリーチャーをブロックした(またはブロックされた)ことによる誘発型能力が誘発します。「ブロックする」や「ブロックされた」と、「クリーチャー1体をブロックする」や「クリーチャー1体によりブロックされた」は同じものではないため、能力には多くの種類があることに注意してください。能力はその誘発条件を満たした場合にのみ誘発します。
これで戦闘を続けることができそうです。

でもちょっと待って!攻撃クリーチャー1体を複数のクリーチャーでブロックした際には何が起こりますか?《悲しみの騎士/Knight of Sorrows》のようなクリーチャーが複数の攻撃クリーチャーをブロックしたときには?そのような戦闘で何が起こるかをどうやって私たちは知ることができますか?ここで「ターンベースの行動」が帰ってきました!誘発型能力がスタックに乗りプレイヤーが優先権を得る前に、プレイヤーは「ダメージ割り振り順」と呼ばれる、複数のクリーチャーに対して攻撃またはブロックを行うクリーチャーがどの順番でダメージを与えるかについて選択を行います。これは狭い廊下で殴り合いを行っているような様と考えます。2番目の敵と向き合う前に、最初の敵を倒さなければなりません。クリーチャーは前のクリーチャーに戦闘ダメージで致死ダメージを与えない限り、その後ろのクリーチャーに戦闘ダメージを与えることはできません。

攻撃クリーチャー1体を複数のクリーチャーでブロックしている場合には、攻撃プレイヤーがダメージ割り振り順を決めます。クリーチャー1体が複数のクリーチャーをブロックしている場合には、防御プレイヤーがダメージ割り振り順を決めます。

能力の時間、第2幕です! すでに述べたその前に誘発している誘発型能力のことを覚えていますね?よろしい。それらの能力は条件を満たしていた場合に誘発はしますが、それは待っていたためこのダメージ割り振り順を決めた後でスタックに乗ります。さらに言えば、プレイヤーがこのフェイズの重要な部分である戦闘そのものを行う前に何かするための優先権はそれから得ます。

戦闘・ダメージステップ

戦闘フェイズはターンベースの行動の発生源のようなもので、ここでまた別のものが出ます。このステップの最初に、私たちが攻撃クリーチャーをタップしたときから待ち望んでいたもの、すなわち戦闘が発生します。クリーチャーはそのパワーに等しいダメージを与え、この行動はスタックを使いません。昔はダメージをクリーチャーに割り振ったあとで《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を生贄に捧げて基本土地を探すようなことができましたが、いまはクリーチャーが戦闘ダメージを与えあう間は、どのプレイヤーも優先権を得ません。

ラウンド1(先制攻撃と二段攻撃)! このモジュールの冒頭で、先制攻撃と二段攻撃について言及したのを覚えていますか? ええ、これらの能力が関連する所に来ました。戦闘に参加している先制攻撃や二段攻撃を持つクリーチャーは、それらを持たないクリーチャーよりも先に戦闘ダメージを与えます。《剣術の名手/Fencing Ace》が1/1のエレメンタル・トークンにブロックされた場合を考えてください。通常ならば双方が1/1ですのでこれは相打ちになりますが、《剣術の名手/Fencing Ace》は二段攻撃を持っているのでエレメンタルが戦闘ダメージを与える前にダメージを与え、死ぬのはエレメンタルだけです。次は幸運を祈りますよエレメンタル! 戦闘ダメージを与えた後で、双方のプレイヤーがふたたび優先権を得て次のステップに進む前に何かを行うことができます。
ラウンド2(通常の戦闘ダメージ)! 先制攻撃や二段攻撃を持つクリーチャーはそれを行いました。さあ他のクリーチャーの番です!この時点で二段攻撃によりダメージを与えられたクリーチャーがまだ生き残っていれば、復讐のチャンスです。今度はすべてのクリーチャーが同時に戦闘ダメージを与えあうので、ここでは相打ちにもなり得ます。二段攻撃を持つ攻撃クリーチャーが最初の戦闘ダメージ・ステップでブロック・クリーチャーを殺していても、このステップでプレイヤーには戦闘ダメージを与えられませんので、何にもダメージを与えられないことには注意が必要です。しかしながら、ここまででまだ話していないことによって、戦闘はもう少しだけより面白いことになるでしょう。
より面白いこと(能力と効果)。マジックには戦闘にスパイスを加えるものがいくつもあります。この完全な一例はトランプル能力です。トランプルはクリーチャーに対して、そのクリーチャーがブロックされていようともプレイヤーの顔面にダメージを叩きつけることを可能にします。どのように?ええ、それは攻撃クリーチャーがブロック・クリーチャーに対して致死ダメージを割り当てたうえで、まだ与えられるすべての戦闘ダメージを割り当てていない場合に、トランプルを持つ攻撃クリーチャーは残りのダメージをプレイヤーかプレインズウォーカーに与えられる、というものです。トランプルによるダメージは「自動」ではないということを言っておくことは重要です。プレイヤーはトランプルによるダメージを指定する必要があります。指定しなければ、すべてのダメージはブロック・クリーチャーに与えられます。接死とトランプルの組み合わせはさらに面白く、致死ダメージはたったの1ダメージになるので、トランプルで残りの多くのダメージを割り当てることを可能にします!

このステップがどのように機能するかをもう少しよく理解するには、どのようにダメージが機能するかということを理解する必要があります。通常、ダメージはひとつの大きなものと見られますが、実際にはそのカーテンの向こうにはそれに影響を与えたり修正したりするいくつかの変動する要素があります。これはロケット科学の話ではありませんが、それを完全に理解するうえでは知っておいたほうがいいことがあります。ダメージは3段階の行動からなるプレイです。

行動1。ダメージが与えられます。この時点でダメージ(または戦闘ダメージ)を与えたことにより誘発するすべての能力が誘発しますが、まだスタックには乗りません。

行動2。ダメージが結果を生むべく処理されます。多くの場合、これは次の結果をおよぼします。
・プレイヤーがライフを失う。
・プレインズウォーカーが忠誠度カウンターを失う。

しかしながら、これを修正できるいくつかの効果があり、たとえば感染能力は、そのダメージを(プレイヤーに与える場合に)毒カウンターか(クリーチャーに与える場合に)-1/-1カウンターに置換します。この時点でクリーチャーが絆魂能力を持っていた場合には、その与えたダメージだけのライフの獲得を行います。
行動3。ダメージが(そして魔法が)実際に解決されます。

戦闘終了ステップ

さらに誘発があります! 終わりに近づいており、今度は「戦闘終了時に」とあるすべての能力が誘発します。私たちが《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》により生成された天使や《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider》により生成された《ラガバン/Ragavan》にさよならを言うときです。
これで終わりですが、まだ戦闘中でありプレイヤーが戦闘フェイズ中に優先権を獲得できる最後の時であり、「戦闘終了」ステップと呼ばれてはいるものの戦闘に参加したクリーチャーはまだ「攻撃クリーチャー」や「ブロック・クリーチャー」として扱われます。このステップがそのようなクリーチャーに対して《ギデオンの叱責/Gideon’s Reproach》を唱えねばならない最後のチャンスです。すべてのプレイヤーが優先権をパスしてスタックが空になったら、戦闘フェイズは公式に終了し、クリーチャーは攻撃クリーチャーやブロック・クリーチャーであることを止めます。

あと双頭巨人戦での戦闘についてですが、戦闘フェイズに何が起こるかはすべて論じましたが、ここまでは私たちは2人のプレイヤー間での対戦について限定した話をしており、私たちは3人以上で同時にマジックを遊ぶことができるのももちろん理解しております。では、双頭巨人戦での戦闘では何が起こるのでしょうか? そうですね、注目に値する違いがいくつかあります。まず最初に、あなたとチームメイトは一緒に「攻撃チーム」として攻撃を行いますし、攻撃するクリーチャーに対しては防御チーム…ではなくどちらのプレイヤーまたはプレインズウォーカーであるかを選ぶ必要があります。これはたとえば《プロパガンダ/Propaganda》や《森での迷子/Lost in the Woods》のような、プレイヤー1人にのみ適用される制限や能力の場合にはとりわけ関係します。これらの場合は、もう1人のプレイヤーを攻撃するのが良さそうです。同様の話として、防御プレイヤーを参照する能力は、その能力の発生源がどのプレイヤーを攻撃したかによってのみ影響します。たとえば《ウラモグの破壊者/Ulamog’s Crusher》により誘発する滅殺能力は《ウラモグの破壊者/Ulamog’s Crusher》が攻撃を行ったプレイヤーにパーマネントを生け贄に捧げることを強制し、もう1人のプレイヤーには生け贄を強制せずそちらのプレイヤーが代わりに捧げることもできません。防御プレイヤーが特定の土地タイプをコントロールしている場合にクリーチャーをブロックできなくなる能力が存在します。それは「土地渡り」と呼ばれます。知るべき重要なことは、あなたが《リバー・ボア/River Boa》で攻撃しようとしている際に、防御プレイヤーの1人が島をコントロールしていた場合には、もう1人のプレイヤーが島をコントロールしていなくても関係なく、どちらのプレイヤーもこれをブロックできないということです。そんなわけで、双頭巨人戦の場合には、どちらを攻撃するかは極めて戦略的な決定であると言えます。

以上で、このモジュールの最後に到達しました。今こそこれまでに学んだすべてのことを考える時なので、短いクイズでしめましょう!ここまでつきあってくれてありがとう。次のモジュールで会いましょう。