レッスン

MTG: マジックイベント規定 テキスト

こんにちは、私はレベル3ジャッジであり、グランプリのヘッドジャッジも務める、スペインのアルフォンソ・ヴェーノです。これからの数分で、マジックイベント規定(以下MTR)の文書の基本的な、レベル1ジャッジが知っておくべきことについて、あなたにお伝えできることを光栄に思います。もちろん、このプレゼンテーションで文書のすべてをカバーすることはできませんし、それぞれの項目の細部までをカバーする予定もありません。個人的には、ジャッジとして活動していくにあたり、時々この文書のすべてを注意深く読むことをお勧めします。ですが、今はあなたがレベル1ジャッジになるために知るべきことを見ていきましょう。

ジャッジとは?
ヘッドジャッジ (MTR 1.7)
フロアジャッジ (MTR 1.8)

マジックのジャッジとはなんでしょう?
MTRの1.8項によると、”フロアジャッジはプレイヤーや観客の質問に答えたり、不正なプレイを処理したり、その他妥当な要請に応えるために存在する。”とあります。

ルール適用度が一般のイベントでは、ジャッジはプレイヤーがゲームの状況を理解することを助けたり、ルールやカードの相互作用に関しての質問に答えたり、オラクルを見せたりすることができます。

”ジャッジはゲーム上の不正な行動を防ぐために介入してはならない。ルールが破られた直後に介入し、問題が複雑化するのを防ぎ、ゲームの完全性を復元し、必要に応じて懲罰を与えること。”これってどういうこと?ですか?いい質問ですね!これは、あなたがジャッジとしてするべきことは、プレイヤーがルールを破りそうだと感じた時にゲームに介入するのではなく、本当にルールが破られるまで待つべきだということです。その時になって初めて、あなたはゲームに介入し、プレイヤー達を手助けするべきです。もしくは、ジャッジが介入しなければ状況が悪化する可能性のある場合、例えば、プレイヤーのデッキのものだと思われるカードが床に落ちていたり、プレイヤー同士が言い争っている時などにもまた、介入するべきです。

ヘッドジャッジとはなんでしょう?
ジャッジとして活動していくにあたり、多くのトーナメントでは、あなたがヘッドジャッジになるでしょう。ヘッドジャッジはDCIに認定されたトーナメントにおける最終の裁定権限者であり、すべての参加者はその解釈に従わなければなりません。

ヘッドジャッジの責任は次の通りです

プレイヤーが自ら気付いたか指摘されたかに関わらず、ゲームのルールまたはイベントの規定への抵触行為を処理するための必要な行動を取らせることを保証する。
すべての上訴に対し、フロアジャッジの裁定を覆すことも含めて最終裁定を下す。
必要に応じて、フロアジャッジに役目を割り振る。
認定トーナメントでは、プレイ上でのいざこざを仲裁したり、ルールを説明したり、その他の公式な裁定を下すために、ヘッドジャッジの存在が必要です

言い換えれば、ヘッドジャッジであるあなたは、イベント主催者とともにトーナメントを進行する責任があります。あなたは必要な裁定を下したり、もしトーナメントが大規模で、他のスタッフが必要であれば手配しなければなりません。また、トーナメントの進行に必要なこと(対戦の組み合わせを作成したり、その結果を入力したり、トーナメントが始まる前にテーブル番号を配置したり)をする可能性も高いです。イベントがしっかりと進行できるようにしなければなりません。

イベントの機構
マッチの構成 (MTR 2.1)

マッチは、トーナメントの各ラウンドで行われます。これは、一方が一定数(通常は2つ)のゲームに勝つまで続けられる一連のゲームからなります。

もし、片方のプレイヤーが必要な数のゲームを勝利する前にラウンドが終了した場合、最も多く勝利したプレイヤーがマッチの勝者となります。通常、それは最初のゲームに勝利したプレイヤーです。もし、両方のプレイヤーの勝利数が同数(1勝1敗であったり、まだ誰も勝利していないなど)の場合には、マッチは引き分けとなります。

プレイ/ドロー・ルール (MTR 2.2)

マッチの第1ゲームにおいて、スイス・ラウンド中は(ダイスやコイントスなど)無作為の方法によって定められたプレイヤーが、先攻か後攻かを選びます。

そのプレイヤーは自分の手札を見る前にその宣言を行なわなければなりません。宣言しなかった場合、そのプレイヤーは先攻を選んだものとします。

先攻のプレイヤーは第1ターンのドロー・ステップを飛ばします。

マッチ中でゲームが終わった場合は、そのゲームの敗者が次のゲームの先攻を決めます。

直前のゲームが引き分けに終わった場合には、そのゲームの最初に先攻後攻を選んだプレイヤーが再び先攻後攻を決定します。

(通常、トップ8による)決勝ラウンド中では、ランダムな方法ではなく、スイス・ラウンド終了時点での順位の高い方のプレイヤーが、先攻か後攻かを選びます。例えば、スイス・ラウンドで2位のプレイヤーが7位のプレイヤーと対戦する場合、2位のプレイヤーがダイスを振らずに決定します。

ゲーム開始前の手順 (MTR 2.3)

次の手順を各ゲームの開始前に適当な時間内で行なわなければなりません。

サイドボードが使用できる場合、(最初のゲームでなければ)プレイヤーはサイドボーディングを行うことができます。
その後、プレイヤーは自分のデッキをシャッフルします。
プレイヤーはデッキをシャッフルのために対戦相手に提示します。また、サイドボードも(あるならば)この時に提示しなければなりません。
決定権のあるプレイヤーが先攻か後攻かをまだ決めていなかった場合、この時点で決定します。
各プレイヤーは7枚カードを引きます。
各プレイヤーは、ターン順にマリガンをすることができます。
すべてのプレイヤーがマリガンの処理を完了したら、ゲームは開始したものとして扱います。ゲーム開始前の手順は、マッチ開始が宣言される前に行なってもかまいません。

ゲームまたはマッチの、投了またはID(同意による引き分け) (MTR 2.4)

ゲームやマッチが終わっていない限り、プレイヤーは投了したり、双方の合意の元でそのゲームやマッチを引き分けにしたりすることができます。

マッチは、結果登録用紙が記入されたか、登録用紙を使っていない場合にはプレイヤーのいずれかがテーブルを離れたときに終了したものとして扱います。

投了したプレイヤーが1本でもゲームに勝っていた場合、マッチの結果は2-1となります。1ゲームもプレイせずに同意による引き分けにした場合には、0-0-3とするか、Wizards Event Reporter (WER)の「引き分け」(0-0)ボタンによって報告してください。

プレイヤーは、金銭やその他の報酬と引き替えに、投了したり引き分けに同意したりしていけません。それらの行為は〔買収行為〕となります。これは重大な違反であり、別のレッスンで詳しく説明します。

プレイヤーがプレイしようとしない場合、そのプレイヤーはそのマッチを投了したものとして扱います。

マッチ終了時の手順 (MTR 2.5)

マッチの終了時刻が来た時点でまだ勝者が決定していない場合、その時点でのアクティブ・プレイヤーがそのターンを終わらせた後に合計5ターンの延長ターンをプレイします。通常は片方のプレイヤーが3ターン、もう一方のプレイヤーが2ターンを得ることになりますが、追加のターンを得る効果がある場合には数がずれることもありえます。

アクティブ・プレイヤーが自身のターンを終了する意思を示したあとでマッチの終了時刻が来た場合は、ターン数を数える上では既に次のターンに入っているものとして考えます。例えば、アクティブ・プレイヤーが「エンド」といった後に、対戦相手がターン終了時に何かをプレイしようと考えている場合、アクティブ・プレイヤーのターンはではなく、その対戦相手のターンが”0ターン目”となります。

複数人のプレイヤーが同時にプレイするチーム戦(双頭巨人戦など)では、5ターンではなく3ターンの延長ターンを用います。

終了時刻が来た後では、新しいゲームを始めるべきではありません。もし、終了時刻が来た時点で、両方のプレイヤーがマリガンを終えていなかった場合、そのゲームを始めるべきではありません。

延長ターンの終了時にまだゲームが終わっていなかった場合、そのゲームは引き分けとなります。そのマッチの以前のゲームで片方のプレイヤーがゲームに勝利していた場合、そのプレイヤーがマッチの勝者となります。もし、両方のプレイヤーが1勝している、またはどちらも勝利していない場合には、マッチは引き分けとなります。

シングルエリミネーション・ラウンドでは、マッチは引き分けで終わってはいけません。延長ターンが終了した時点ですべてのプレイヤーの勝利ゲーム数が同じ場合、その時点でもっともライフ総量が多いプレイヤーがそのゲームの勝者となります。すべてのプレイヤーのライフ総量が同じ場合(または、勝利ゲーム数が同数で、ゲームとゲームの間である場合)には、「いずれかのプレイヤーが最大のライフ総量を持っていない場合、そのプレイヤーはゲームに敗北する」という新しい状況起因処理を追加してゲームまたはマッチを継続します。

時間延長 (MTR 2.6)

ジャッジが、ラウンド・クロックが進行中に1分以上マッチを中断させた場合、そのマッチの時間を適宜延長させるべきです。時間の延長は、プレイヤーがジャッジを呼んだ場合でも、ジャッジがゲームに介入した場合でも認められます。

ヘッドジャッジへの上訴 (MTR 2.9)

プレイヤーがジャッジの裁定に納得できない場合、そのプレイヤーはヘッドジャッジに上訴することができます。

プレイヤーは、フロアジャッジが裁定を終えるまでは上訴することができません。

ヘッドジャッジ、または指名されたアピールジャッジの裁定は最終決定です。

多くのトーナメントでは、あなたがヘッドジャッジであることを覚えておいてください。もしプレイヤーがあなたの裁定に納得しない場合、次の2つのことをすることを推奨します。

まず、プレイヤーの言い分を聞いてください。あなたは必要な情報を聞き逃しているかもしれません。ただし、同じ情報に対して堂々巡りにならないようにしてください。

次に、あなたの裁定のもととなる文書(総合ルールや、ルール適用度が一般の場合のジャッジ法など)をダブルチェックしてください。私たちは人間ですので、記憶違いをしているかもしれません。

イベントからの棄権 (MTR 2.10)

プレイヤーはいつでもイベントから棄権できます。

プレイヤーが第1ラウンド開始前に棄権した場合、そのプレイヤーはそのイベントに参加していないものとして扱われます。最終順位にも名前は含まれず、またプレインズウォーカー・ポイントを得ることもありません。

リミテッドの大会から棄権するプレイヤーは、その時点で適正に所持しているカードを手に入れます。これには、未開封や、部分的にドラフトされたブースターも含まれます。

記録を取ること (MTR 2.11)

プレイヤーはマッチの間に記録を取って、その記録をそのマッチの進行中に参照することができます。ゲーム中に参照できる記録は、そのマッチのものに限り、以前のマッチで書かれたものを見ることはできません。

ゲームとゲームの間には、プレイヤーはマッチの前に取られた簡易な記録を見ることができます。通常、それはサイドボードプランのメモなどです。

記録を取ったり参照したりするために電子機器を使うことは、ルール適用度が一般の場合にのみ認められます。また、プレイヤーはいつでもオラクルの文章を参照することができます。ルール適用度が一般の場合には、わずかな戦略的情報が含まれていたとしても、gatherer.wizards.comなどのインターネット上のものを参照することは認められています。

電子機器 (MTR 2.12)

ルール適用度が一般の場合、電子機器は許容されますが、プレイヤーはそれを用いて戦略的な助言を得たり、対戦相手のデッキに関する情報を得たりしてはいけません。

イベントのヘッドジャッジや主催者は、マッチ中の電子機器の使用についてさらなる制限や禁止を加えることができます。

これで、このプレゼンテーションはほぼ終了しました。ですが、次に進む前に、このビデオでは解説されていない、ルールの細部や、コーナーケースがあることを補足したいと思います。時々、この文書を読んで知識を更新することをお勧めします。

認定規定
最低参加者数 (MTR 10.1)

個人戦のトーナメントでは、最低8人の参加を必要とします。
チーム戦や、双頭巨人戦のトーナメントでは、最低4チームの参加を必要とします。
これらの最低参加人数を満たさなかった場合、そのイベントはDCIの認定を得られず、プレインズウォーカー・ポイントが与えるれることはありません。その場合には、イベント主催者はイベントを「行なわなかった/Did Not Occur」としてDCIに報告しなければなりません。

ラウンド数 (MTR 10.2)
個人戦のトーナメントでは、最低3ラウンドが必要です。
チーム戦や、双頭巨人戦のトーナメントでは、最低2ラウンドが必要です。
これらの最低ラウンド数を満たさなかった場合、そのイベントはDCIの認定を得られず、プレインズウォーカー・ポイントが与えられることはありません。

ラウンド数は第1ラウンド開始前か開始時に告知されるべきです。告知された場合、トーナメントはそのラウンド数で固定されます。イベントの終了条件を添えて、ラウンド数が変動するということを告知することも可能です。例えば、20人参加のイベントで、第4ラウンド終了時に4勝のプレイヤーが1人だけでない限り5ラウンド行なう、という告知ができます。

制限時間
マッチには、最低40分の試合時間が必要です。ただし、50分の制限時間を設けることが推奨されています。

シールドのトーナメントでは、20分のカードプール登録時間と、30分のデッキ構築時間が必要です。また、プレリリースでは、デッキ構築時間を15分延長することが推奨されています。

ドラフトでは、デッキの構築と、その登録のために25分が必要です。

ヘッドジャッジは、そのトーナメントの制限時間の最終決定者です。しかし、推奨されているものから逸脱をする場合には、トーナメントの受付前、および受付中にアナウンスをしなければなりません。

その他の種類のイベントは、制限時間が異なります。必要であれば、MTRの付録Bを確認してください。

最後まで視聴して頂き、ありがとうございます。この動画があなたにとって役立つものであれば幸いです。レベル1試験、頑張ってください。