MTG: 呪文を唱えること・能力を起動すること テキスト
「呪文を唱えること・能力を起動すること」のプレゼンテーションへようこそ。
両者には多くの共通点があるため、同時に扱いましょう。とにかく、総合ルールの該当する項目を参照してください。
このプレゼンテーションは、レベル1試験のための勉強用に作られています。
呪文を唱えるには、8つの段階を踏みます。正しい順番を覚えるための記憶法を紹介しましょう。
Special Championship Teams Do Like Their Magic Playersという語呂合わせがあります。8語それぞれが段階に対応していて、頭文字が各段階と一致しています。
その8段階を見てみましょう。
Specialはスタック(Stack)を意味します。
Championshipは選択(Choices)です。
Teamsは対象(Target)になります。
Doは割り振り(Divide/Distribute)です。
Likeは適正チェック(Legality check)になります。
Theirは総コスト(Total cost)です。
Magicはマナ能力(Mana abilities)になります。
そしてPlayersは支払い(Payments)です。さあ、各段階をそれぞれ見てみましょう。
第一段階:スタック
とは言うものの、時としてこの動きに入る前に何らかの選択をしなければならないこともあります。その選択は、これから唱えようとするオブジェクトがスタックに移動する前の段階で影響します。
分割カード、そして融合です。
分割カードをスタックに置く前に、どちらの半分を唱えるのかを選ばなければいけません。スタックに置かれるのは、唱えようとする側の半分のみです。
《氷/Ice》を唱えようとすると、この呪文は《火/Fire》の特性を一切持たなくなります。例えば、もう赤ではなくなるのです。
《労苦+苦難/Toil+Trouble》を融合で唱えるなら、それぞれの半分が持っていた特性を合わせたものをもちます。例えば、点数で見たマナ・コストは6になります。
そのため、3を選択した《聖域の僧院長/Sanctum Prelate》が戦場にいたとしても、《労苦+苦難/Toil+Trouble》を融合で唱えることは妨げられません。片側のみを唱えられないだけです。
裏向きの呪文
オブジェクトを裏向きで唱える場合、それはスタックに置かれる前に裏向きになります。すなわち、呪文になる前の段階で裏向きになっているということになります。
《憤怒の天使アクローマ/Akroma, Angel of Fury》を変異で唱える場合、文章をや名前、サブ・タイプ、マナ・コストを持たない2/2のクリーチャーとして唱えることになります。唱えられた呪文に影響する効果は、《憤怒の天使アクローマ/Akroma, Angel of Fury》の特性を見ることはできません。
対戦相手が《憤怒の天使アクローマ/Akroma, Angel of Fury》を指定した《翻弄する魔道士/Meddling Mage》をコントロールしていても、それは変異で唱えることを妨げません。
「唱えることを許可する」効果
通常では唱えられない状況でも、唱えはじめることを許可する効果があります。
フラッシュバックや最活は、墓地からカードを唱えることを許可します。
《雷電支配/Electrodominance》や続唱は、優先権を持っていない呪文や能力の解決中に呪文を唱えることを許可します。
おさらいです。
・分割カードと融合
・変異
・「唱えることを許可する」効果
カードやコピーをスタックに置くと、あなたはそのコントローラーとなります。通常あなたはそのオーナーでもあるため、これは通常そこまで重要ではありません。普通のマジックにおいては、呪文は自分の手札から唱えるものです。ただし、時として対戦相手のカードを唱えることもあるでしょう。
《豪華の王、ゴンティ/Gonti, Lord of Luxury》や《凶兆艦隊の向こう見ず/Dire Fleet Daredevil》は対戦相手のカードを追放させ、それを唱えられるようにします。そうしたなら、対戦相手は依然としてオーナーではありますが、コントローラーはあなたになるでしょう。
実際にどう影響するかですか?そうですね……
ゴブリンを指定した《秘儀での順応/Arcane Adaptation》をコントロールしています。そのため、私のコントロールするクリーチャー呪文はすべて、元々のサブ・タイプに加えてゴブリンでもあります。
そして、《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》もコントロールしているので、ゴブリン呪文はすべて不特定1マナ軽くなります。どう相互作用するでしょうか?
更にゴンティの能力で対戦相手のライブラリーから《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》を追放しています。これを唱えようとしたとき、スタックに置くと同時にそのコントローラーとなります。つまり、《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》はゴブリンとなり、唱えるためのコストは1マナ軽くなるということです。
もし、代わりに8つの段階全てを経てからようやくコントローラーになるのだとすると、結果は違ったものになってくるはずです。
第二段階:選択
この段階では、最大で7つの選択をすることになります。ただし、呪文によってはもっと少なかったり、なかったりすることもあります。
モード
《謎めいた命令/Cryptic Command》のようなモードを持つ呪文の場合、モードを宣言します。
連繋
その呪文になにかを連繋したい場合、そのカードをここで公開します。
可変のコスト
マナ・コストに含まれる「X」などの可変のコストの値をここで決定します。
代替コスト
マナ・コストを支払うのではなく、代替コストを支払うことを選ぶことができる場合があります。この代替コストで代替できるのはマナ・コストのみです。
代替コストは多くのキーワード能力に含まれます。
フラッシュバック
絢爛
奇跡
しかし、そうでないものもあります。キーワード能力の一部としてではなく、《雷電支配/Electrodominance》のように「マナ・コストを支払うのではなく」と書かれているものもまた代替コストです。
また、キーワード能力の一部に「マナ・コストを支払うことなく」という形で含むものもあります。続唱がこの例にあたります。
追加コスト
追加コストを支払うことを選択したなら、それらのコストはマナ・コストとは別に保持されます。
ごく一部の例としては、キッカーや増呪、最活、献身です。
追加コストはマナの支払いであったり、カードを捨てることであったり、クリーチャーを生贄に捧げることだったりします。
混成マナ
呪文のマナ・コストに混成マナが含まれているなら、それをどのように支払うかをここで宣言します。
ファイレクシア・マナ
呪文のマナ・コストにファイレクシア・マナが含まれているなら、それをどのように支払うかをここで宣言します。
第二段階で選択する7項目をおさらいしましょう。
さて、これらの選択肢の間で起こる相互作用を見てみましょう。
複数の代替コストを選ぶことはできますか?
残念ですができません。《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》で《意志の力/Force of Will》にフラッシュバックを持たせて唱えるなら、3UUを支払わなければいけません。「青のカード1枚を追放してライフを1点支払う」ということは選べません。墓地から《意志の力/Force of Will》を唱えるためには既に選択しているフラッシュバックが必要なので、その他の代替コストを適用することはできないのです。途中で選択を変更することは許されません。
マナ・コストを支払わない時に「X」はどうなるのでしょうか?
ええ、これも良くないお話ですね。Xは0にしかなりません。このクラゲは続唱のようにはならないのです……
追加コストを複数選べるかどうかですか?できますよ!墓地の《巨森の蔦/Vines of Vastwood》に《レンと六番/Wrenn and Six》の紋章で回顧をもたせたなら、回顧とキッカーを同時に選択できるのです。素晴らしい!
代替コストと追加コストを同時に選べるかどうかですか?それもできますよ!《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》でフラッシュバックを持たせた《巨森の蔦/Vines of Vastwood》は、墓地から唱えつつキッカーを選ぶことができます!
第三段階:対象
特に驚くべきことはありません!この段階で対象を選びます。
順序を覚えるヒントです。選択の内容によって対象の数が変わることがあるので、必ず対象は選択の後に来るのです。《謎めいた命令/Cryptic Command》の上2つのモードは対象を取りますし、《ゴブリンの連射/Goblin Barrage》はキッカーで対象が増えるのです。
カードの文章によっては、対象を選ぶときに選択肢が減ったり増えたりします。
《蒔かれたものの収穫/Reap What Is Sown》の文章には「最大3体まで」と書かれているので、3体としたならそれぞれ別の対象にしなければなりません。
《力の報奨/Bounty of Might》はそれぞれ別の「対象」と書かれているので、望むならそれぞれ同じクリーチャーを対象に取ることができます。
「最大」と書かれている限り、対象を選ばないことも適正です。例えば《レンと六番/Wrenn and Six》の+1能力を墓地に土地カードが無くても起動できるようになるため、デザイン上もこれは有効に働きます。
第四段階:割り振り
ダメージやカウンターなどを割り振ります。(英語では)2つの異なる動詞(Divide/Distribute)が使われますが、同じことです。
一つだけ大事なことは、各対象につき最低1つ/1点は割り振らなければ行けないということです。
《二股の稲妻/Forked Bolt》について考えましょう。
対戦相手が《歩く死骸/Walking Corpse》と《幻影の熊/Phantasmal Bear》をコントロールしています。ここで両方を対象にとって《幻影の熊/Phantasmal Bear》の誘発型能力を待って、《歩く死骸/Walking Corpse》に2点を与えて破壊することはできません。熊を対象にするには、最低1点を割り振らなければいけないのです。
第五段階:適正チェック
基本的に、何かが進行するそれぞれのタイミングでゲームは物事が適正であるかをチェックしています。
この段階はとても複雑なことが多く、L1候補生には難しすぎるため、別のプレゼンテーションで改めて説明します。
第六段階:総コスト
ゲームが総コストを決定します。まず、コストを増加させるものから確認していきます。
モダンの定番の2つが《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》と《減衰球/Damping Sphere》です。
その後、コストを減少させるものを確認します。
例えば《ゴブリンの電術師/Goblin Electromancer》や《エーテリウムの彫刻家/Etherium Sculptor》です。
減少効果を最大限に働かせるため、常に増加させる効果の方を先に適用します。
そして最後に、「総コストを直接変更する効果」です。これは《三なる宝球/Trinisphere》だけのための分類です。
《三なる宝球/Trinisphere》はとても独特なカードなので、その奇妙な相互作用については個別に扱います。
《三なる宝球/Trinisphere》とファイレクシア・マナ
以前に見てきたとおり、《四肢切断/Dismember》のファイレクシア・マナを黒マナで払うかライフ2点で払うかは第二段階で選択しています。すなわち、《三なる宝球/Trinisphere》は実際にどう支払われようとしているかを「見る」ことができます。1マナとライフ4点で支払おうとしたなら、《三なる宝球/Trinisphere》はそのままにはせず3マナとライフ4点を支払わせます。
《三なる宝球/Trinisphere》と探査
《三なる宝球/Trinisphere》が《宝船の巡航/Treasure Cruise》を見る時、それはまだ8マナの呪文に見えています。
探査は代替コストや追加コストではなく支払の方法であり、どう使うかについては後ほど第八段階で選択することになります。
そのため、《三なる宝球/Trinisphere》に関係なく、青1マナと探査7枚で支払うことができます。
支払の方法については後ほど改めて説明しましょう。
おさらいです。
・コスト増加
・コスト減少
・《三なる宝球/Trinisphere》
一旦総コストが決定されると、それは「固定」されます。つまり、それ以降に何かが起きてももはや変更されることはありません。例を見てみましょう。
《ゴブリンの電術師/Goblin Electromancer》をコントロールしているので、《心火/Heartfire》は1マナ軽くなります。
総コストは赤マナ1点と、クリーチャーまたはプレインズウォーカー1体の生け贄となり、それで「固定」されます。
最後の(支払いの)段階で《ゴブリンの電術師/Goblin Electromancer》を生け贄に捧げたとしても、総コストは変動しません。マナは赤1点のみで、不特定1点を払う必要はないのです。
第七段階:マナ能力
マナ能力それ自体はまた深いプレゼンテーションを必要とする話題なので、詳細はここでは扱いません。
基本だけ確認しておきましょう。
《スカークの探鉱者/Skirk Prospector》は面白い作用をします。このマナ能力を起動すると、このゴブリンはこの第七段階の間に墓地に置かれるのです。
つまり、《宝船の巡航/Treasure Cruise》を唱えるなら、次の(支払いの)第八段階で探査に充てることができます。
第八段階:支払い
実際のコストの支払いはこの段階で行います。
この段階でそれぞれの支払いの手段をどの用に行うかを決定します。
既に探査の話はしましたが、召集も同じです。
即席や共謀も同じです。
支払いの順番も決定します。時として、それが意味を持つこともあります。
マナ・プールに緑2マナがあるので、《マナの座、オムナス/Omnath, Locus of Mana》は現在3/3です。
ここで《生命の遺産/Life’s Legacy》を唱えます。
もし先にマナ・コストを支払うために緑2マナを使った場合、生贄に捧げる段階ではオムナスは1/1になっています。そのため、引くカードは1枚です。
逆に、先に(3/3の)オムナスを生贄に捧げてからマナを支払えば、3枚引くことができます。より良いですね!
この8つの段階を終えると、やっと呪文が「唱えられた」ことになります。多くの誘発型能力がこの時点をもって「呪文を唱えた」と見るので、非常に重要です。
例えば、《どぶ潜み/Guttersnipe》です。
《どぶ潜み/Guttersnipe》の能力を誘発させるには、この8段階全てが完了するまで《どぶ潜み/Guttersnipe》が戦場にいなければなりません。
ですから、《心火/Heartfire》を唱える時、追加コストとして《どぶ潜み/Guttersnipe》を生贄に捧げてしまうと、《心火/Heartfire》が「唱えられた」ときにはもう《どぶ潜み/Guttersnipe》はいなくなっています。能力は誘発しません。
これが、少なくともレベル1にとって必要な、呪文を唱える手順です。次は能力の起動です。
能力の起動の手順も、先程見てきた呪文を唱える手順と非常に似ています。
いくつか説明しなければならないこともあります。
「起動された能力」という言葉には2つの意味があります。
その片方は、「コスト:効果」の書式で書かれたオブジェクトの特性を示します。
もう一方は、スタック上のオブジェクトを示します。呪文と違い、そのオブジェクトはカードではありえません。
既に見たことがあるかもしれませんが、典型的な例を見てみましょう。
呪文を唱える時、そのカードをスタックに移動させます。ここは公開領域なので、全てのプレイヤーが見ることができます。変異は多少異なった挙動をしますが、別のタイミングでそれを後悔することになります。
能力を起動する時、カードではないオブジェクトをスタックに置くことになります。もし非公開領域から能力を起動するなら、不正を行う余地が残るため問題になってしまうでしょう。
時として、コストの一部としてカードの公開が含まれます。問題は解決しましたね。
サイクリングや変成のコストに公開することは含まれませんが、これはそれらのカードを捨てることがコストに含まれ、すぐに公開されることになるからです。
面白いことに総合ルールによれば、第一段階で能力をスタックに置く前にそのカードを公開することが必要です。しかしながら、全てのプレイヤーがCRを読んでいると期待することには無理があるでしょう……
一部の起動型能力は、特定の領域からのみ起動することができます。
《療養所の骸骨/Sanitarium Skeleton》は墓地からしか起動できません。