レッスン

MTG:キーワード処理とキーワード能力 テキスト

ジャッジアカデミーの「キーワード処理と能力」に関するレッスンにようこそ!
このタイトルは、「ターンの構成」や「呪文を唱えること」などに比べると、少し異様なものに聞こえるかも知れませんが、Magicは複雑な処理を完結に表現できる略語で構成されています。それがこのレッスンの目的です。

多くの能力や処理は、一般的な文法を用いますが、スペースを節約するため、あるいは非常に一般的な用語のために、Magicは長い説明を置き換えた「キーワード」を使用します。
これらのキーワードは、ゲームがそれらのキーワードを扱えることも意味します。例えば「飛行を持つクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。」や「あなたがカードを1枚捨てるたび、あなたは1点のライフを得る。」などです。「飛行」や「捨てる」といったものがキーワードでなければ、ゲームはいちいちそれらを詳しく説明しなくてはなりません。

「キーワード処理」はカードを捨てることや、ライブラリーのシャッフルなど、そのほとんどがプレイヤーへの指示のようなゲーム関連の処理です。「キーワード能力」は防衛や飛行などのオブジェクトがもつ特性です。
最後に「常盤木」はどのようなセットでも存在できることを意味します。キーワード処理と能力の合計は150個以上にものぼりますが、そのうち常盤木として指定されているものは40個程度です。
それらの常盤木が、今回の主な議題です。

「起動」と「唱える」
能力を起動するか、呪文を唱えるとスタックに置かれ、コストを支払うことを意味します。”
このプロセスの詳細は「マジック: 呪文を唱えること・能力を起動すること」の項で詳しく説明されています。
何かが唱えられたとき、あるいは起動された時に誘発する能力は、スタックのその呪文または能力の上に置かれます。
これには《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》の「続唱」能力や、戦場に存在しているパーマネント、例えば《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun》の最後の誘発型能力のようなものが含まれます。

「つける」
オーラ、または装備品を、オブジェクト、またはプレイヤーにつけるとは、それを現在ある場所から取り、そのオブジェクトやプレイヤーの上に置くということを意味します。
効果が、オーラや装備品をつけることのできない、あるいはすでについている先のオブジェクトにつけようとする場合、またはオーラや装備品以外のオブジェクトをつけようとする場合、それらによってオブジェクトは移動せず、効果は何もしません。
「はずす」
はずすとは、装備されているオブジェクトから装備品を離すことを意味します。その後、その装備品は戦場に残ります。”

オブジェクトを他に何かにつけると、新しいタイムスタンプを得ます。
これは、種類別を適用する際に関連することがあります。例として《灰色熊/Grizzly Bears》に《継ぎ当ての翼/Cobbled Wings》が装備されている時に、《巨像の鎚/Colossus Hammer》を装備した場合、《灰色熊/Grizzly Bears》飛行は持ちません。
逆に、《灰色熊/Grizzly Bears》に《巨像の鎚/Colossus Hammer》が装備されている時に、《継ぎ当ての翼/Cobbled Wings》を装備すると、+10/+10の修整と飛行の両方を持ちます。

「打ち消す」
これは、呪文や能力を取り消すことを指します。
スタックから取り除かれ、その効果は発生しません。
呪文が打ち消された場合、それはオーナーの墓地に置かれます。
打ち消された呪文や能力のオーナーは、支払ったコストの払い戻しを受けることはありません。

呪文や能力が打ち消されたとしても、(先程同様、「続唱」能力のような)呪文が唱えられたり、または支払われたコストによって、能力は誘発します。
(例えば《祭壇の刈り取り/Altar’s Reap》を唱える際のコストとしてクリーチャーを生贄にした際、《無情な死牙/Ruthless Deathfang》の能力が誘発します)

「生成する」
生成する、は指定された特性を持つトークンを、指定された数だけ戦場に出すことを意味します。
生成されたこれらのトークンは戦場に出され、関連する能力を誘発させることができます。

「破壊する」
戦場から墓地に置くことを意味します。
致死ダメージや接死もクリーチャーを破壊しますが、キーワードは使用しません。
破壊不能(常盤木)と再生(常盤木ではない)は、破壊と相互作用する2つの能力ですが、他のタイプのクリーチャーやパーマネントが死亡することはありません。

「捨てる」
捨てるとは、プレイヤーが自分の手札からカードを自分の墓地に置くことを意味します。
一般的には、影響を受けるプレイヤー自身が自分で捨てるカードを選択しますが、一部のカードは他のプレイヤーが選択したり、ランダムに捨てさせることがあります。

「交換する」
2つのオブジェクトの場所、またはコントロールを同時に入れ替えます。
交換する際に、交換するオブジェクトの1つが存在しない場合、交換は発生しません。
これは、《どんでん返し/Switcheroo》の対象の1つが不適正になった際によく起こります。
オブジェクトが別のプレイヤーによってコントロールされている場合、コントロールの変更は同時に発生します。プレイヤーが両方のオブジェクトを同時にコントロールすることはありません。

ある領域のカードを別の領域のカードと交換する場合、片方のカード群にカードがない場合でも交換することができます。
プレイヤーがある数字を交換する場合、それらの値が設定されます。
ライフの総量の場合、これらはライフを得ることや失うことを意味します。これは置換効果の影響を受けたり、能力を誘発させたりする場合があります。
パワーとタフネスの場合、それはパワー/タフネスに関する継続的効果です。

「追放する」
追放領域に置くことです。
通常、カードは表向きに追放され、プレイヤーはいつでもそのカードを見ることができます。
追放領域についての詳細は、次のレッスンを確認してください。
ご想像の通り【領域について】で!

「格闘を行う」
2体のクリーチャーが、お互いにそれぞれのパワーに等しいダメージを与え合うことです。
いずれかのクリーチャーが戦場を離れるか、格闘が解決されるよりも前に適正ではない対象になった場合、格闘は解決されず、ダメージは与えられません。
与えられるダメージは戦闘ダメージではないため、先制攻撃とトランプルは適応されません。
しかしながら、絆魂と接死は適応されます。
“クリーチャーが自分自身と格闘する場合、クリーチャーは自身のパワーの2倍に等しいダメージを与えます。
(《黄昏の捕食者/Nightfall Predator》の起動型能力を、自身を対象に起動した際に起こります!)”

「プレイする」
ある領域(通常は手札)から土地を戦場に置くことです。この処理はスタックを用いません。
《ヨーグモスの意志/Yawgmoth’s Will》のような一部のカードは、プレイヤーが手札以外の領域からカードをプレイすることを許可します。
これは、プレイヤーが呪文を唱えたり、土地をプレイすることができることを意味します。
一部の古いカードのオラクルにおいて「呪文を唱える」と書かれている場合、実際のカードには「呪文をプレイする」というフレーズが使用されています。
変だな、と思ったら、オラクルを確認してください!

「公開する」
公開されたカードは、全てのプレイヤーに対して公開されます。
効果の一部である場合は、その効果の全てが処理されるまで、公開されたままになります。
公開することがコストの一部である場合、そのコストを必要とする呪文や能力がスタック上から離れるまで公開されたままです。
公開することが能力を誘発させる場合、誘発した能力がスタック上から離れるまで公開されたままです。
「カードを見る」という処理は、カードを公開することと同じルールに従いますが、指定されたプレイヤーのみが見ることができます。
カードが公開されたり見られたりしても、それが存在している領域は変わりません。

「生贄に捧げる」
そのコントローラーは、生贄に捧げるパーマネントを戦場からオーナーの墓地に置きます。
プレイヤーは、自分がコントロールしていないパーマネントを生贄に捧げることは出来ません。
生贄に捧げられたパーマネントは破壊されないため、破壊不能で守ることはできません。

「占術を行う」
占術を行うとは、指定されたプレイヤーが自分のライブラリーの上からN枚のカードを見て、それらのカードを任意の順番でライブラリーの一番上、または一番下に置くことを意味します。Nは呪文や能力によって指定されます。
複数のプレイヤーに同時に占術するよう指示された場合、それはAPNAP順でカードをどう置くかを決定し、その後同時に移動させます。
プレイヤーが「占術0を行う」と指示された場合、占術は行われない。

「探す」
指定された条件に一致するカードをある領域から見つけることを意味します。
《袖の下/Bribery》における「クリーチャー」のように、カードの条件が明記されている場合、非公開領域に条件が一致するカードがあったとしても、プレイヤーは「見つけられなかった」とすることができます。
ただし、《悪魔の教示者/Demonic Tutor》のような条件がないカードを探す場合、プレイヤーは指定された枚数のカードを見つける必要があります。

《廃墟の地/Field of Ruin》のように、複数のプレイヤーが同時にある領域を探す場合、それらのプレイヤーは同時にある領域を見て、APNAP順でどのカードを見つけるかを決定します。

「切り直す」
どのプレイヤーにも順番がわからなくなるよう、ライブラリーや裏向きのカード群を無作為化することを意味します。

ある効果がライブラリーのカードをシャッフルしようとする時、あるオブジェクトが存在しなくなったり(例:《狡知/Guile》の誘発型能力に対応してそれが追放された場合)、0枚のカード群をライブラリーに加えたり(例:何も対象を取らなかった《土覆いのシャーマン/Loaming Shaman》の誘発型能力)、0枚や1枚のライブラリーをシャッフルすることを指示された場合、ライブラリーはシャッフルされ、関連する能力を誘発させます。

「タップする」/「アンタップする」
パーマネントをタップするには、カードを横向きに倒します。
パーマネントをアンタップするには、カードを横向きから縦向きに戻します。
タップ状態のパーマネントのみ、アンタップでき、またアンタップ状態のパーマネントのみタップすることができます。
タップされたパーマネントは、(《リシャーダの都/Rishadan Port》のような)それをタップする呪文や能力で対象に取り続けることができますが、その能力は何もしません。

「接死」
接死とは、その発生源から(0でない)ダメージが致死ダメージとして扱われることを意味します。
これは、戦闘ダメージと非戦闘ダメージの両方で機能します。

「防衛」
防衛は、それを持つクリーチャーが攻撃できないことを意味します。非常に簡単です。

「エンチャントする」/「装備する」
通常、戦場にあるオブジェクトにつけることです。
オーラは、エンチャントできるものを指定しますが、装備品はクリーチャーにしか装備することができません。
装備することは、通常、あなたがソーサリーを唱えることができる時にのみ使用できる起動型能力です。

「先制攻撃」と「二段攻撃」
先制攻撃と二段攻撃を持つクリーチャーは、これらの能力を持たないクリーチャーの前に、先制攻撃ダメージ・ステップでダメージを与えます。
通常の戦闘ダメージ・ステップでは、二段攻撃のある全てのクリーチャーと、この戦闘フェイズにまだダメージを与えていない全てのクリーチャーがダメージを与えます。
既にダメージを与えたクリーチャーから先制攻撃を取り除いたり、最初の戦闘ダメージ・ステップでダメージを与えなかったクリーチャーに先制攻撃を与えても、そのクリーチャーは通常の戦闘ダメージ・ステップでダメージを与えることを妨げることはできません。

「瞬速」
インスタント呪文を唱えられる時に、いつでも瞬速を持つ呪文を唱えることができます。(《法をもたらす者、アゾール/Azor, the Lawbringer》の能力によって)インスタント呪文を唱えられない場合でも、瞬速を持つ呪文は唱えることができます。

「飛行」
飛行を持つクリーチャーは、飛行、または到達を持つクリーチャー以外ではブロックできません。飛行を持つクリーチャーは、飛行を持つクリーチャーも持たないクリーチャーもブロックすることができます。

「速攻」
速攻を持つクリーチャーは、召喚酔いの影響を受けません。
つまり、ターンの開始時点でコントロールしていなくても、攻撃したり、タップを必要とする能力を使用したりすることができることを意味します。

「呪禁」
呪禁を持つオブジェクトは、コントローラーの対戦相手がコントロールする呪文や能力の対象にすることができません。
同様に、呪禁を持つプレイヤーは、対戦相手がコントロールする呪文や能力の対象にすることができません。
「[性質]からの呪禁」は、対象に取ることの制限が、その性質(ほとんどの場合はある色)の呪文や能力にのみ適応されることを意味します。

「破壊不能」
破壊不能を持つオブジェクトは、破壊できず、致死ダメージなどによる破壊を引き起こす状況起因処理を無視します。
破壊不能を持つクリーチャーは、タフネスが0以下であることによって死亡する可能性があり、また破壊不能を持つプレインズウォーカーは、それらの上に忠誠カウンターが0個であることによって墓地に置かれる可能性があります。

「絆魂」
絆魂を持つ発生源によってダメージが与えられた場合、そのコントローラーはその数値に等しいライフを得ます。ダメージが軽減されたとしても、依然としてライフを得ます。
絆魂を持つ発生源が同時にダメージを与える場合、それらの発生源のそれぞれが別々のライフを得るイベントを発生させます。これは《アジャニの群れ仲間/Ajani’s Pridemate》の誘発型能力などに関連しています。

「威迫」
威迫を持つクリーチャーは、2体以上のクリーチャーによってしかブロックされません。

「プロテクション」
プロテクションはやや複雑です。「プロテクション([性質])」と書かれています。
通常、[性質]は色であることが多いですが、タイプ、カード名、または「すべて」でも構いません。
プロテクションとは、書かれた[性質]である発生源からダメージを受けず、つけられず、対象にならず、ブロックされることもありません。
プロテクション(あるプレイヤー)とは、その能力を持つカードが、そのあるプレイヤーがコントロールするものすべてからダメージを受けず、つけられず、対象にならず、ブロックされることもありません。

もしオブジェクトにあるカードがつけられており、そのオブジェクトがあるカードに対するプロテクションを得た場合、それらのカードは外され、オーラはオーナーの墓地に置かれます。
一部のオーラは、プロテクション(ある色)を得させるとともに、「この効果は〜を取り除かない」として特定のオーラを外しません。
しかしながら、プロテクションの他の機能は、通常通りそのオーラとの相互作用を受けます。

「到達」
到達を持つクリーチャーは、飛行を持つクリーチャーをブロックすることができます。《シラナの岩礁渡り/Silhana Ledgewalker》のような飛行を持つクリーチャーによってしかブロックされないクリーチャーは、ブロックすることができません。

「トランプル」
トランプルは、クリーチャーが攻撃した際、戦闘ダメージを割り振る方法を変更する能力です。ブロックした際や、戦闘ダメージでないダメージを与える際には何の効果もありません。
トランプルは、攻撃プレイヤーに攻撃クリーチャーが攻撃しているプレイヤーやプレインズウォーカーへ、余剰分のダメージを割り振ること選択肢を与えます。
トランプルを持つクリーチャーがプレインズウォーカーを攻撃している場合、プレインズウォーカーを倒した後に更に余剰分のダメージがある場合、それらを防御プレイヤーに割り振ることはできません。

トランプルを持つクリーチャーは、最初に全てのブロック・クリーチャーに致死ダメージを割り振る必要があります。
例えば《巨大な戦慄大口/Colossal Dreadmaw》が《灰色熊/Grizzly Bears》にブロックされた場合、防御プレイヤーに最大4点のダメージを割り振ることができますが、攻撃プレイヤーは全てのダメージを《灰色熊/Grizzly Bears》に与えることもできます。
さらに、全てのブロック・クリーチャーが破壊されるか、ダメージが与えられる前に戦闘から取り除かれた場合、トランプルを持つクリーチャーは、トランプルを持たないクリーチャーとは異なり、全てのダメージを防御プレイヤーに割り振ることができます。

クリーチャーが、トランプルと接死の両方を持っている場合、1点のダメージだけで致死ダメージとして扱われます。
接死を持つ《巨大な戦慄大口/Colossal Dreadmaw》が《古代ブロントドン/Ancient Brontodon》にブロックされた場合、《古代ブロントドン/Ancient Brontodon》に1点のダメージを与え、防御プレイヤーに5点のダメージを割り振ることができます。

ブロック・クリーチャーがプロテクションや破壊不能を持っている場合、攻撃プレイヤーは致死ダメージを割り振る必要があります。
例えば、《巨大な戦慄大口/Colossal Dreadmaw》が《ゾンビの異国者/Zombie Outlander》にブロックされた場合、防御プレイヤーに割り振る前に、《ゾンビの異国者/Zombie Outlander》に2点のダメージを割り振る必要があります。

さて、さらに先に進んでみましょう。二段攻撃とトランプルを持っている場合、プロテクションを持つクリーチャーとの相互作業はどうなるでしょう?
《巨大な戦慄大口/Colossal Dreadmaw》に《炎叫びの杖/Fireshrieker》を装備しましょう。そして《ゾンビの異国者/Zombie Outlander》にブロックされました。
先制攻撃ダメージでは、《ゾンビの異国者/Zombie Outlander》に2点のダメージ、防御プレイヤーに4点のダメージを割り振ります。
通常のダメージでは、《ゾンビの異国者/Zombie Outlander》にさらに2点のダメージを割り振る必要があります。なぜなら、最初に与えたダメージは、プロテクションによって軽減されているからです。
よって、防御プレイヤーには合計8点のダメージを与えます。

対戦相手が、破壊不能を持つ2/2のクリーチャーでブロックした場合はどうなるでしょう?
さて、先制攻撃ダメージでは、クリーチャーに2点、防御プレイヤーに4点のダメージを割り振ります。
次に、通常のダメージでは、ダメージが既にクリーチャーに割り振られているため、クリーチャーにダメージをさらに割り振る必要はありません。破壊不能はダメージを軽減しないためです。
よって、6点すべてを防御プレイヤーに割り振ることができ、合計10点のダメージを与えます。

「警戒」
警戒を持つクリーチャーは攻撃するに際し、タップしません。《巨大なるカーリア/Kaalia of the Vast》などによって、タップ状態で攻撃に参加した場合、そのクリーチャーはタップ状態のままです。