レッスン

MTG:裁定の出し方 テキスト

テーブルに近づく
プレイヤーにサインを出す。

あなたは、コンピュータへの入力に専念しているお店のスタッフを待っていたことはありませんか?スタッフがあなたに気付いているかどうかはわからないですよね。また、声をかけて作業を中断するのも、ちょっと失礼かも、と思ってしまうでしょう。それに声を掛けたとしても、「少々お待ち下さい」と言われても、あまりいい気にはならないでしょう。

逆に、彼らが能動的に「こんにちは、少々お待ちいただけますか?」と言ってくれれば、あなたは、スタッフがあなたに気付いて、サービスを提供するために最善を尽くしていることを知るため、気分は良くなるでしょう。

そう、Magicプレイヤーにも同様のことが当てはまります!人々は、実際に何かをしてあげた瞬間からではなく、誰かが気付いてくれた瞬間から、自分を気にかけてくれていると感じます。誰かが自分に気付いてることがわかると、もう「待っている」ことはないのです。

あなたがジャッジコールのあったプレイヤーから遠く離れていたり、あるいは別のコールを締めくくろうとしている場合(危険な可能性もあります)、テーブルに急いで行くのではなく、そのプレイヤーらにわかるよう何かしらのサインを送りましょう。手でサインを送ることが最善です。口頭で伝えることももちろん素晴らしいですが、ホールを通して叫んでは行けません。

取るべき行動:手を上げて、プレイヤーに気付いていることをアピールする。
もし出来ないなら:近くに他のジャッジがいる場合、そのジャッジにプレイヤーへの対応を促しましょう。

フレンドリーに
これは言うまでもないでしょう?第一印象は非常に重要です。

成功の秘訣は、フレンドリーであることから始。まりますそしてプレイヤーと良い印象を与えることです。

理想としては、目を見て両方のプレイヤーに挨拶をします。一部のジャッジコールでは、片方のプレイヤーとのみ会話をすることがあるため、最初からもう片方のプレイヤーが疎外感を感じないように注意してください。プレイヤーの片方を個人的に知っている場合、これは更に重要です。これは、小規模なイベントでよく発生します。(この状況については後で説明します。)

例:「お待たせいたしました、どうされましたか?」はとても良い挨拶です。

「お待たせいたしました」だけでも問題はないですが、スムーズに状況が聞き出せるとは言えません。
また席に着く場合、必ず両方のプレイヤーとコミュニケーションを取ることを意識して下さい。
必ず「どうされましたか?」といった一言を付け加えて、何かトラブルが起こってしまったのか、あるいは単純なルールな質問なのかをプレイヤーから聞き出せるようにしましょう。
もし知り合いからジャッジコールを受けたら
誰しもに知り合いがいます、例えば、FaceBookやTwitterのフォロワー、チームメイト、ルームメイト、恋人などです。

特に、地元のイベントにおいては、知り合いが多数いる状況でジャッジをすることになります。ですが、それでもあなたはジャッジとして公平公正であることが求められます。

先程も申し上げましたが、印象は非常に重要です!

そのため、たとえ友人であっても、丁重に扱う必要があります。また別のプレイヤーが、対戦相手がジャッジと個人的な知り合いである、ということに不信感を抱く可能性もあります。意見の相違がある場合、それは更に強まるでしょう。

一旦落ち着きましょう!
特に小さなイベントにおいては、プレイヤーがあなたの名前を知っていることはあたりまえです。あるプレイヤーが、ニックネームなどであなたを呼ぶことは大きな問題ではありません。

ですが、そのプレイヤーが(「私達は友達ですよね?」のようなことを言ってきたりするなどして、)知人という立場を利用しようとしてきた場合、あなたは、今は知人としてではなくジャッジである、ということを強く示し、それを退ける必要があります。礼儀正しく、そして毅然とした態度で「今はジャッジとして対応していますので、今起こっている状況のみを解決しましょう。」と伝えましょう。これは、片方のプレイヤーに偏っていない、ということを示す強いシグナルです。

これは大したことではない、ということを忘れないで下さい。ただし、個人的な知り合いであるという事実を引き出すこと自体が不適切である、ということをそのプレイヤーに伝えましょう。

テーブルに着いたら
どうされましたか?

理想的には、プレイヤーは我々の挨拶に対して、状況を説明しようとします。ほとんどのジャッジコールは、ラウンド進行中に起き、お手洗いに行きたい、であったり、結果記録用紙を提出したい、といったものです。それらについては特に難しい部分はないため、掘り下げません。

今回は、ジャッジコールのうち、2つの主なカテゴリについて掘り下げます。

両方のプレイヤーが同意するもの
両方のプレイヤーが同意しないもの

両方のプレイヤーが同意するもの
必ず理解するようにしましょう。

話している内容や質問が不明瞭な場合は、復唱してプレイヤーに確認するようにしましょう。プレイヤーらに、自分がしっかりと理解できないまま裁定を出すことを見られることほど、悪いことはありません。

もし、プレイヤーが対戦相手に聞かれたくない内容を離すことに躊躇していることに気付いたら、テーブルから離れることができることを伝えて下さい。

何かルールに抵触する行為があった場合、通常であれば、1人のプレイヤーが何が起こったのかを説明します。ですが、別のプレイヤーが介入して何かを伝えてきた場合、それは、次のうちのいずれかです。

それが起こる状況は非常に稀であり、ほとんどのプレイヤーはその説明に同意します。
ですが、それとは異なる見解を持っている場合があります。この場合、意見の相違が見られるため、調査モジュールの範囲内となります。
今回は、プレイヤーらが同意した場合の状況に注目します。

カードをもう一度読みましょう。
皆さんは、カードに何が書かれているかを知っています。ですが、忘れてしまっていることもあります!
ですので、裁定を出す前に、必ずカードをもう一度読むようにしましょう!

いくつかの注意事項があります。
1999年よりも前に印刷されたほとんどのカードは、オラクルの改正が行われています。(WotC社が多くのクリーチャー・タイプを変更した)2009年以前についても、改正されている可能性が非常に高いです。

そして、最近のカードであってもその可能性はあります!
例えば《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria’s》は「カードを1枚引く。次の終了ステップの開始時に、土地を最大2つアンタップする。」という能力を持っていますが、印刷されているテキストには「カードを1枚引く。次の終了ステップの開始時に、土地2つをアンタップする。」と書かれています。

もし、テキストを確認する場合は、「オラクルを確認致しますので、少々お待ち下さい」とプレイヤーらに伝えましょう。そうすることで、プレイヤーらはジャッジが正しい裁定を出すよう努力していると感じ、多少の時間がかかっても気に留めなくなります。

加えて、プレイヤーからの質問に関連するカードがないか、戦場や墓地のカードを確認してください。例えば、あるクリーチャーがある効果によって死亡したかどうかを質問してきた場合、そのクリーチャーを守る他の効果がないかを確認しましょう。

ルールや裁定がわからない?
わからないこともあります!
どう答えるかわからない場合、知ったかぶりをしてそれっぽい裁定やルールを出すことです。その瞬間は見栄えが良くなるかも知れませんが、裏目に出ると最悪の状況に陥ります。

そうしないために、まずはルールとポリシーを確認しましょう。プレイヤーらはそれに対して感謝こそすれど、怒ることはありません。

ルールに関する質問の場合は、次のうちいずれかの方法で探すことができます。

Gathererの裁定
CR内
ルールに抵触する行為の場合は、使用する文書がルール適用度(REL)によって異なります。

ルール適用度が一般の場合:ルール適用度が一般の場合のジャッジ法(JAR)
競技の場合:マジック違反処置指針(IPG)
2の文書は、同じポリシーに則っていますが、規定されている追加措置は異なるため、ルール適用度に応じたものを参照するようにしましょう!

マジック・イベント規定(MTR)は、全てのルール適用度において共通です。
正しい項が見つからない場合は、他の人に確認するようにしましょう。

同じイベントの他のジャッジに聞く。
オンライン上で探す。

AndroidとiOS両方に便利なアプリがあります。公式のカード・テキストとルール文書をスマートフォンで確認することができます。アプリ名は以下の通りです。(英語版のみ)
Android:MTG Judge Core App
iOs:MTG Guide

裁定を伝える
あなたは、質問が何か、復唱して2度確認しました。そして、ルール文書を参照したか、他のジャッジと確認し合いました。あなたの持っている回答に誤りはありません。さあ、いよいよ裁定を伝える時です。

その際、質問をしたプレイヤーや、誤りを犯してしまったプレイヤーだけでなく、両方のプレイヤーを見ながら伝えるようにしましょう。あなたは、片方のプレイヤーではなく、両方のプレイヤーを助けているのです。

また、Magicは複雑なゲームであるため、プレイヤーがミスを犯してしまったことを厳しく咎めないようにしましょう。ミスを犯してしまった後に気分が良くなる人はいないので、これ以上気分を悪くさせる必要はありません。

プレイヤーが自分のミスで落ち込んでいる間に、ルール文書を参照することは良いことです。また、プレイヤーが混乱しているようであれば、ルール文書の関連する部分を見せることを提案しましょう。そうすることで、プレイヤー自身がルール文書を読み、疑問点を質問してくれるようになります。

答えが見つからなかったり、ルールを正しく理解しているかどうか、わからない場合があるでしょう。そういうときもあります!
それは隠さず、代わりにきちんとそれを理解し、プレイヤーらにそれらを伝えてください。
そして、プレイヤーらに最終的な裁定は自分が下すこと、そしてそれを見つけることができる方法が何か伝えましょう。
きちんと誠意を伝えれば、プレイヤーも納得してくれるはずです。
皆が助けたいと感じる根拠を提示すれば、あなたは成功に向かっています。

両方のプレイヤーが同意しないもの
この時点で、ほとんどのプレイヤーを支援することができています。彼らが抱えている問題を解決しましょう。

しかし、プレイヤーらが同意しない場合、事態は非常に深刻です!
情報を収集し、それらをまとめる方法については、調査モジュールにて取り扱います。

調査とは!
それらは本質的に不正行為と関連していることは自明ですが、調査とは主に実際に何が起こったかを確立するために使用される技術を指します。

それでは、裁定の出し方について、焦点をあてましょう。

裁定を適切に伝える。
プレイヤーらが同意していない場合、あなたの裁定は、必然的にどちらかのプレイヤーの気分を害します。よって、プレイヤーもあなたの裁定に同意しないかもしれません!
すべての人に敬意を持って接し、両方のプレイヤーから言い分を聞いたことは、あなたの評価になります。実際に裁定を伝える方法は以下の通りです。

提案
「起こったことすべてに同意しかねることは理解します。ですがわたりは、ゲームの状況を確認し、お二人(やジャッジ、観客)からのお話をお伺いして、全てに同意していない場合でも、プレイを続けられるように裁定を出す必要があります。

最初の部分は、プレイヤーが状況に対して主な責任があることを示唆しています。
次の部分は、可能な限りすべての情報を収集したことをプレイヤーらに想起させています。
最後の部分は、結果に関係なく、裁定を下す必要があるということをプレイヤーらに伝えています。
それらのことを伝えることで、あなたは状況から一定の距離を置くことができ、公平な始点でそれを扱うことができます。また、あなたがこの状況に必要以上に介入しない意志表示を強め、あなたの持っている能力を最大限に活用し、それを解決するためだけに役立ちます。

確信が持てないことを認める。

確信が持てていないことを認めた上で、それでも最善を尽くしているとプレイヤーが感じたなら、プレイヤーらはそれを責めることは非常にはばかられるでしょう。
それでも彼らが議論を続けるのであれば、とにかく、あなたは100%確実な事実を確認する選択肢がなく、プレイヤーらにあなたの裁定を受け入れる必要があると彼らに伝えてください。

提案
「正確に何が起こったのかを知る方法がないため、最も可能性の高いものを選択する必要があります。」

事実を要約する
状況が不明瞭な場合は、裁定を出す前に、確立された(ごく少数の)事実を確認することが更に重要です。プレイヤーが同意した事実には意義を唱えることができず、あなたの裁定をサポートするための最も強固な基盤となります。

提案
「あなたは全てに同意するわけではないということですので、わたしはあなたが同意したことに基づいて裁定を出します。これまでのお話では、あなたは【X】と【Y】という点については同意されました。これらに基づいて、わたしの裁定は【Z】です。」

裁定を伝える
収集した事実を整理することから始めると、裁定を出し始めた時点で、プレイヤーがその裁定に異を唱えることは難しくなります。実際、プレイヤーが事実に意義を唱えたければ、プレイヤーらはもっと早くそうすべきで、あなたの裁定は、単なる論理的な結論でしかありません。

異議の申し立て
プレイヤーが、あなたの裁定に何らかの異議を申し立てることがあります。
なぜなら、いくつかの裁定は、ゲームに決定的ななにかを与えることがあります。それは、間違いが発見されるのが著しく遅かった場合に、特に当てはまります。そういうときは、以下のポイントを思い出してください。

プレイヤーらに、ゲームの状態を管理する責任があることを思い出させます。エラーを犯したプレイヤーにも「少しは」責任がありますが、他のプレイヤーもそれに気付くべきです。
あなたが調査したことを思い出させれば、誰も不正行為をしたとは思いません。よってそれは誤りであり、収集した情報のみで修正する必要があります。
どんなにゲームが大きく壊れてしまっていても、です!
必要に応じて、裁定がどのように導かれたかを伝えるようにしましょう。プレイヤーらは、自身の言い分を理解していないと感じると、気分を害してしまう傾向にあります。これらを伝えることは、裁定に対して十分に注意を払ったことを、再評価するでしょう。
全てにおいて、プレイヤーが本当に不満を抱いている場合、あなたができることはほとんどありません。これは残念ですが、プレイヤーはプレイを続ける必要があります。

失格を伝える
難しい決定を下すことに加え、あなたはそれを伝える必要があります。これは、間違いなくジャッジが関与する最も対立的な状況です。プレイヤーを失格にするということは、これはあなたがプレイヤーが不正行為を行ったと確信したことを意味します。

意図的に
有利を得るために
自分が不正なことをしていると認識している
「自分が不正なことをしていると認識している」というのはなんでしょう?
ほとんどの場合、不正行為を行ったプレイヤーは一瞬で判断をします。それらは「チーター」、すなわち不正行為の準備をしてきた人にはできません。

「チーター」という言葉をむやみに使うのはやめましょう。常に特定個人への攻撃として認識され、事実からクレームへと、話が変わってしまいます。ここで得られるものは何もありませんが、失うものは沢山あります!

事実を要約し、収集したすべての証拠や手がかりを整理して、以下を特定します。

行為が意図的なものであること。
行為がプレイヤーにアドバンテージを与えたこと。
プレイヤーがその行為を行っていると自覚していたこと。
これら全てを供述すれば、次のように言うことができます。

「これら全ての事実に基づき、私たちはあなたがそれを行うことができないことを知っていながら、利益を得るために意図的にこの行為をしたと判断します。これら3つの要素は、ルール上で不正行為として定義されています。不正行為に対するペナルティは、失格です。」

この文言が作成される手順は、以下のことを満たします。

事実を要約します。先程もお伝えした通り、プレイヤーが積極的に同意しない限り、あなたの裁定を超えて議論をすることは、それはそのプレイヤーの人生をより厳しくするでしょう。
ルールにおいて、この行為を不正行為と定義していると記載されています。これは個人的なものではありません。プレイヤーは嘘や偏向で裁定を出しているとは言い辛いでしょう。あなたは、ただルールを適用しているだけです。
ペナルティの内容は、最後にのみ伝えられます。これは、クライマックスを演出するわけではなく、プレイヤーが自分のした行為の結果の程度を知る前に、議論を展開します。これにより、最後までそのプレイヤーの言い分を聞く機会が増えます。
ジャッジコールのまとめ
プレイヤーらにゲームを再開する方法を説明した後、次の2つのことに注力します。

ペナルティ
ルール適用度が競技のイベントでは、ペナルティがあります。(一般のイベントにも、いくつかのペナルティが存在しますが、それは稀なことです。)
ペナルティは、教導目的で出すものですが、プレイヤーにとってはお堅いお役所仕事のように感じています。プレイヤーらは、あなたに対して、ペナルティを受けること無く、問題を解決してくれることを期待しています。

常に、最初に問題を解決するようにしましょう。プレイヤーがプレイを再開できるようになったら、ペナルティを伝えましょう!

延長時間
あなたの裁定に時間がかかったとしても、プレイヤーらは50分プレイする権利があります。プレイヤーらには、延長時間が必要です。その際、次のことに注意してください。

裁定にかかった時間が1分未満の場合、延長時間は必要ありませんが、そのテーブルに何度も介入する場合は、それらをまとめた延長時間を与えましょう。
あなたの裁定は、あなたがテーブルに着いた時ではなく、プレイヤーがジャッジコールをしたときから始まります。
かかった時間の秒数分は切り上げるようにしましょう。プレイヤーは気分がよくなりますし、切り上げた分は1分未満であり大きな影響もなく、ゲームを実際に再開するまでの時間としても必要になるでしょう。